研究地域:日本、沖縄、台湾。

研究テーマ:

(1)台湾のポストコロニアル状況と日本観の形成

(2)沖縄与那国島民族誌/「東台湾海」文化圏を取り巻く海域文化史

(3)台湾人類学史の研究/翻訳

(4)行動・公共人類学の研究と実践



趣旨:

1992年に中央研究院の民族研究所で現職に就いてから、80年代の日本留学経験を活かし、20世紀初期日本統治時代の台湾総督府の民族誌史料を翻訳整理をすると同時に、台湾社会に根付いている日本文化の現象を掘り下げ、考察をしてきた。

オーラルヒストリー・詩歌・文芸・書籍・文書などを通してそれぞれのフィールドワークの情報収集をし、台湾社会の多層的な歴史構造、また各エスニックグループ間で織り成す戦争と植民の交錯関係から、台湾特有である日本観に関しての複雑系統の現象を分析する。

そして、台湾に最も近い沖縄先島諸島 (特に与那国島)について、史料と神話伝説などから歴史的に交流してきた証拠を検証し、台湾のオーストロネシア語族と周辺諸島の文化との類似性などフィールドワークを行っている。

近年、行動/公共/応用人類学の領域においての開拓に力を入れており、現代社会の面しているさまざまな難題に人類学者の果たすべく役割を考える。特に生存競争の苦境の中にいる弱者に対し、学界は知識と行動によるフィードバックの責任があると訴える。そのため、NGOや市民団体と連携し、災害時、法律、人権と絶滅の危機に瀕した文化やエスニックグループを支援する。

2014年より、当研究所に「行動人類学」研究会を立ち上げ、幹事を務める。台湾各地で行動力のある人類学者が一同に集まり、市民社会の発展に貢献することを提案しつつ、当分野の学術振興を図る。